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落語inおおや
 全国素人名人会
2007年8月3日(金)、4日(土)


兵庫県養父市で活躍されている春歌亭丹馬さんのお声がけで養父市「おおやホール」の活用企画として「全国」的落語会が実現。国民文化祭入賞者や社会人落語選手権優勝者など並居るメンバーに混じって私も九州から一人参加させていただきました。光栄!そして感謝!です。

ホールでの本公演は4日の午後ですが、前夜祭として本公演をなかなか見に来られない大屋町の山深い集落の人たちのためにと、そこに出向いてのミニ出前寄席をやるとのこと。予定を早めて3日の朝から台風の影響が残る九州を出、広島でてい朝さんと合流し、てい朝さんの車に同乗させていただいて4時間。初めての地、兵庫県養父市大屋町に到着しました。

大屋町は、養父郡大屋町が2004年4月に養父4町合併で養父市大屋町になったところ。かつては日本有数のすずや銀、銅の鉱量を誇った明延鉱山を中心に栄えた町も、鉱山の閉山(1987年)とともに過疎の町へ。冬は豪雪に見舞われるとのこと。そんな町の「町おこし」の意味もあったとか。そうしたイベントに参加できたことはまた格別の思いでした。





前夜祭「横行公民館寄席」
8月3日(金)午後18時半開演
大屋町横行公民館

 集合場所の大屋ホールを出て細い山道を山奥へ山奥へ。到着した横行(よこいき)地区は伝説によると平家の落人の里だとか。細い道の横を急流が流れる全部で30戸ほどの集落の公民館は昭和30年代に立てられた木造の古い大きな建物。入り口には「館民公」の文字が!なんだか感動。会場は既に高座もセッティングされ、客席は板の間に座布団敷き。会場のレトロさからは想像できないほどの素晴らしいマイク設備もセッティングされて開演されました。



一、「ろくろ首」   春歌亭丹馬
一、小噺〜南京玉すだれ 水都家艶笑
一、「旅行日記」〜紙切り 粗忽家酔書
一、「目  薬」   秋風亭てい朝
 お囃子が鳴って開口一番の丹馬さんが登場してお辞儀をして普通ならここで拍手・・・のはずがパラパラ。予想通りお客様は落語は初めてのよう。案の状、客席は重い重い。丹馬さん、とても苦労されて次へバトンタッチ。今回は高座を務めた順に、次の寄席会場まで車で移動という超人気芸能人の体験?ができるツアー。丹馬さん、艶笑さんと出番が終わって次々に次の会場へ。私の演目はまずは「旅行日記」。相変わらず重い。お客様は決して笑ってないわけではないのに、声にならない(^^;ちなみにあとでこの地区出身の方に伺ったところ「あの地区はそういう慎ましやかな地区」なのだとか(笑)でも声にはならずとも楽しんでいただけたことは間違いなし!紙切りではお題に予想してた「鹿」が出て思わず心の中でよし!の声(練習してたのでちゃんと切れた!)私も高座を終えお迎えの車に乗せていただき次の会場へ。あとはてい朝さんがんばって下さ〜い。

前夜祭「明延いこいの家寄席」
8月3日(金)午後19時半開演
大屋町明延いこいの家
  
横行公民館での出番を終え、お迎えの車に乗せていただいて一路再び山道を明延(あけのべ)へ。途中、鹿がいました鹿が!丹馬さんからは「鹿が道路にいたら動くまで通れない」と事前に聞いてはいたものの「ほんとに鹿が人里に出るのかなあ・・・」と半身半疑だった私。でもいました鹿が!運転していただいた地元の方によると人口3000人ばかりの大屋には鹿が5〜6万頭はいるとのこと。増えすぎて農作物や人家の軒先の植木をかじったり、車でぶつけてしまうと車がダメになる(実際に何度もぶつけて買い換えた人も多いとか)ので厄介なのだそうです。私は幸い?道路わきの藪の中にいるのを目撃しただけですがまたまたちょっと感動。会場に到着した時は、艶笑さんがマクラを振っていたところでした。なんとか間に合ってセーフ。お客様は狭い会場に溢れんばかり。なんでも回覧板(写真上右)で出欠を事前に出してもらっていたとか。小さな集落ならではの告知です。会場は先ほど横行と違って爆笑、爆笑の渦。鉱山で活気があったころの明延は、集会場にたくさんの歌手が来、映画が上映されたとか。そのせいかお客様が、楽しみ方を知ってらっしゃる感じ。私の出番の頃は十二分に会場は温まっていました。帯を締め直して出番!
一、「延陽伯」        迷探亭小ん南
一、「青  菜」        春歌亭丹馬
一、「短  命」        水都家艶笑
一、「旅行日記」〜紙切り 粗忽家酔書
一、「天狗裁き」       秋風亭てい朝
 
 紙切りで出たお題は「小泉元首相」と「花束」の二つ。小泉さん、以前はよくリクエストあったものの久しぶりのお題。それにしてもこんなところで「安部総理!」と声がかからないくらい安部さんって人気ないのね(笑)それはともかく、できあがったらかなり福よかな小泉さんになってしまいました。てい朝さんの噺が終わって、お客様皆さん笑顔、笑顔。こういう時はいつも「落語や紙切りやっててよかったなあ」と思います。お土産に地元のお菓子と明延鉱山の鉱石見本。それと「一円電車」の切符を頂戴しました。明延の皆様、ありがとうございます!



落語inおおや 全国素人名人会
8月4日(土)午後2時開演
おおやホール
  


  いよいよメインのイベント。昨夜会場の下見に行って驚いたのは高座周りの仕込みの見事さ。高座の後には雰囲気のある障子の屏風に「千客万来」の提灯。会場周辺の看板とともに大屋町のスタッフの皆さんの、この会に向けられた熱意を感じました。今回のお囃子の三味線、千里家やん愚師匠と出囃子やハメモノの打ち合わせをすませいよいよ開場。九さんの叩く一番太鼓とともにお客様がぞくぞくご入場され、あっと言う間に客席は満員に!いやでもテンションは上がってきます。二番太鼓が鳴って開演!
一、「桃太郎」     かぐ家 姫
一、「転失気」     粗忽家 酔書
一、「天 災」      春歌亭 丹馬
一、「そば清」     秋風亭てい朝
    ―― 中入り ――
一、紙切り       粗忽家 酔書
一、「お玉牛」     千里家 
一、「はんどたおる」  水都家 艶笑
一、「ちりとてちん」  南遊亭 栄歌
 開口一番の中学3年生の姫ちゃんにはびっくり。堂々としているし、落語のくすぐりもオリジナルの時事ネタを入れたりして、ちゃんと「姫落語」としてうけている。ただの子ども落語としてかわいいだけでお客様の笑いを取るのではないとこがすごい!聞くところによると小学校2年生から高座に上がっているとか。全国の落語おじさん達もびっくりの高座でした。
 
「桃太郎」姫ちゃん           「転失気」酔書
 姫ちゃんの次はいよいよ私の出番。やん愚師匠の弾く「万歳くずし」にのって高座へ。考えていたはずのマクラをいくつか飛ばしてしまい、前半はどうもノれないまま後半へ。後半はなんとかやれたものの全体的にはいま一つ満足できない出来。まあ、おアトの皆さんがしっかりしてるんで落語会全体としては気が楽かも。振り返っててもしょうがないので次の紙切りに全力集中!下調べでは大屋で出そうなテーマとして@鹿A鮎B水ばしょうC天滝・・ここまでは想像していたもののあとは出たとこ勝負。こんないい加減さで落語よりどきどきしないのは不思議です(笑)丹馬さんの高座は思ったとおり爆笑。てい朝さんのそばの食べ分けでは中手(拍手)がくるし、さすがだなあ。さて、中入り後は今度は紙切りの出番です。
 
「天災」丹馬さん            「そば清」てい朝さん
 鋏試しは恒例の「藤娘」、「宝船」。間にスタッフのリクエストで障子に貼る花びらをちょいと。さて、紙切りのリクエストは・・・「こうのとり!」「余部の鉄橋!」ええっ!!考えてないよおと思いつつ、顔は笑顔で心は真剣。「こうのとり」と聞いたときは一瞬しまったと反省。おおやホールの隣の市の施設のパンフレットコーナーにお隣、豊岡市の「こうのとり」のことが紹介してあったのを『お隣の豊岡のキーワードだから・・・』と頭に置かなかったのが悔やまれました。でももう遅い。以前切ったことのある鶴をアレンジしながらなんとか形へ。次の「余部鉄橋」も全くの想定外。たまたま20数年前に渡ったことがあったのと、今年になって架け替えのニュースがあったのを見ていたのが幸いしました。いやあ、なんでも見ておかなくてはなりませんね。これもなんとか形に。時間が押してるのに調子に乗ってもう一つリクエストを頂戴して「田中先生!」さすが地元の人気者!丹馬さんの高座姿を切って終了。いつもどおりのはらはらどきどきの高座でしたが楽しい出番でした!時間が押してすみませんm(--)m
 
 着替える間もなく「お玉牛」のハメモノ。どんな時もハメモノの下座は緊張します。九さんのハメモノは四国の「景清」以来。どきどきしながらもきっかけをはずさずになんとか果たせた格好。しかし改めて上方落語のハメモノはチームプレイだなあと実感。爆笑ののち今度は艶笑さんの「はんどたおる」。気持ちよさそうに快走。古典ばかりでなく新作も入ることでお客様も楽しさが増したのでは。トリの栄歌さんも文句なし。全国素人落語家のトリにふさわしい相変わらずの爆笑高座で打ち出し。時間は押しに押して開演から3時間半。お越しになっていた主婦の方には晩御飯の用意の心配をさせ、次の用事があった方には先方に連絡をさせ、とお客様にはお疲れさまでしたが、我々出演者はそれぞれ精一杯楽しませていただきました。会場出口でお客様をお見送りしながら、満足感いっぱいの出演者でした。ところで今回、新潟地震の被災者へと急遽募金箱が用意され、募金は艶笑さんの手に渡されました。こんなことも全国から仲間が集まったからこそできることですよね。お客様に感謝!
 
「お玉牛」圓九さん      「はんどたおる」(志の輔作)艶笑さん

 
「ちりとてちん」栄歌さん    満員のお客様は大喜び


スタッフと出演者で記念撮影。皆さんお疲れ様でした!

 
お客様から集まった 新潟地震の被災者義援金が艶笑さんに手渡されました



打ち上げは町内の交流会館にて。古い民家を改造した大座敷です。豚のしゃぶしゃぶ鍋、豚のキムチ鍋もなかなかのものながら、私のメインはやっぱり「但馬牛」!なんでもここで育った子牛が三重に行って「松坂牛」になるとか。こりゃあもう味わうしかありません。炭火で焼いた肉は特性のステーキ塩のみで味わう・・・う〜む、美味い!ヤミィ〜!デリシャス!焼け上がるのをお皿を片手に待ちながら、ぱくぱくやってしまいました。(下戸は下戸で楽しまなきゃですね!)美味しい蜂蜜や無農薬野菜も絶品。ここでもスタッフの皆さんや大屋の皆さんのあたたかい気配りを感じ、ここに参加させていただいたことに感謝、感謝でした。
 

 
  
あらためて、丹馬さん、大屋町のスタッフのみなさん、そして共演の皆さん、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました!!


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