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−酔書紙切り作品集−
    
  1.「藤娘」  2.「亥(いのしし)」  3.「恵比寿・大黒」  4.「相合傘」



 −「紙切り」今昔−  

 
 酔書の「紙切り」のはじまり    道具について    お囃子


【「紙切り」今昔】

東京の寄席に行くと、色物の一つに「紙切り」があります。
その第一人者はもちろん林家正楽師匠(落語協会)。「正楽」の三代目にあたります。
微妙に身体をくねらせながら、巧みにしかもすばやく形を切り抜く芸は、お見事としかいいようがありません。

「林家正楽」について、演芸評論家の川戸貞吉氏によると「初代は、落語の余芸だった紙切りが
評判になって転向、正楽の名を紙切りの代名詞にした」(西日本新聞演芸欄記事)のだそうです。
二代目は、噺家志望でしたがなまりが抜けずに初代に入門。
「そのなまりが何とは言えない愛嬌になった」と川戸氏は評しています。
私も、この先代正楽師匠の高座は随分拝見しました。ずんぐりした身体に春日部(?)なまり。
ギャグはあまり言わず、ニコニコしながら注文を聞いたかと思うと、あっという間に切ってしまう!
一番初めにリクエストして切っていただいたのは1995年7月の池袋演芸場での「花火」。
今では、私の大切な宝物のひとつです。
その頃まだ「小正楽」と言っていた、今の三代目の正楽師匠も、寄席ではよく拝見しました。
「合い合い傘」や「梅に鶯」、「花見」等は、線がシャープで、先代とはまた違った雰囲気がある作品です。
1998年に先代が急死され、小正楽師が「三代目正楽」を襲名されたわけですが、
その披露興行では、寄席では例外中の例外という色物での主任(トリ)でした。
私は残念ながらこの披露興行を拝見することはできませんでしたが、
高座の後のスクリーンにプロジェクターを使って映し出された大作「お祭り風景」は
それは見事だったと聴いています。

今では、この三代目正楽師の他に、弟弟子で、先代の次男でもあるニ楽さんも活躍し、
落語芸術協会では先代の兄弟弟子であった今丸師匠が高座に上がって色を添えてらっしゃいます。
寄席ではこのお三人でしょうか。また、それ以外に「江戸紙切り」として桃川忠氏がフリーで活動していますね。
小三治師匠のお弟子さんの一琴師匠も、それこそ「余芸」でされるのを見たことがあります。
笑福亭鶴笑さんの「パフォーマンス」としての紙切りは私も参考にさせていただいてます。
そういえば、札幌で紙切り師を志した若い女性がテレビで取り上げられてましたが、
その後どうなったでしょうか。最近では昆虫や伊勢海老を見事に切る少年がいましたね。
名古屋では「ガンダム」専門の紙切り師、大東両さんがいました。
「そういえば九州の酔書ってのがやってる」なんて・・・言われる日は近い?(笑)
−参照−
紙切りについて(ウィキペディア)
林家正楽(月間「進路指導」より)
大東両〜紙切り1年戦争
切り絵師柳家松太郎
林家ニ楽公式サイト



【酔書の「紙切り」のはじまり】

はじめは大学落研の先輩二人との定例会(勘朝・直角・酔書落語三人会)での
お遊び的な色物としてでした。
ただ、「紙切り」をやろう!と思いついたものの、急に切れるわけがなく、
この時は、所謂「ハサミ試し」は事前に爪で薄く跡を書いておいて、
高座では何食わぬ顔で「線も何も書いてありませ〜ん」なんて言いながら
切ったのを覚えています。(インチキやあ!!)
でもそのうちだんだんと形を覚え、線がなくても
なんとなく切れるようになってきたものがいくつかでてきました。
「藤娘」「桃太郎」「浦島太郎」「合い合い傘」「花火」・・・などなど。
でも、問題はお客様のリクエストを頂戴して切ること。
はじめのうちは、お客様の中にサクラを用意しておいて、
切れるものを注文を取ったりしましたが、最近ではハッタリ!
自ら心の中で「自分の紙切りは『コミック紙切り』だから」などと言い訳しながら、
お客さんに楽しんでもらえればいいや、ぐらいの気持ちでやっています。
でも、そう言いながら、お客様のご期待に応えられなかったときは
「申し訳ないなあ」と思ってしまう・・・。こればっかりは、お稽古しかありませんね。
(ならばもっと稽古しろよ!って自分でツッコミ・・・)

あとは「しゃべり」も重要だと思います。特に私のようないいかげんな技術のものは!(笑)
ハサミで紙を切るだけのパフォーマンスなら、見ていて、さのみ面白くもないわけで、
プロの師匠のように、できあがった作品の見事さでお客様を納得させるならともかく、
それができない私にとっては「しゃべり」は大切な紙切りの要素だと思っています。
「しゃべり」で間を取り、いかにお客様に飽きさせないかは
「演芸」としてやるのであれば重要でしょう。
私の場合は落語での経験が紙切りにも生かせるし、
逆に、紙切りで覚えた間の感覚は落語にも生きているのかもしれません。
でも何はともあれ、いい意味でも悪い意味でもアマチュアの特権はまずは自分が楽しむってことでしょう!
ついでにお客様を喜ばせることができたらこんなに嬉しいことはありませんね。



【道具について】

〜ハサミ〜

ハサミは日本橋の三越の向かい側にある木屋さんで購入したものを使っています。
たしかドイツ製で5〜6,000円しました。(ちょっと高!)
店に入って「あのう紙切りに使いたいんですが」と言ったら、
「ああ、それならこれがいいですよ」と言って紹介してくれたのがそのハサミです。
「紙切りに使いたい」と言って、さっと紹介されるところがさすがお江戸ですね。
(今では、このハサミは博多天神の福ビル1階「とうじ」でも買えるようです!!)
以前、正楽師匠が福岡にお見えになった時、楽屋におじゃまして、
ハサミについてお尋ねしたことがあったのですが、
師匠は、「あ、なんでもいいですぅ〜」っておっしゃいました。(師匠らしい・・・笑)
ただ、穴をあけることが多いので、先が尖っているほうがいいようです。
ついでに紹介すると、師匠のは少し真ん中のネジが緩めてあって、
切るときに右手の感覚で刃を閉じたり開き気味にしたりするのだそうです。
やっぱりプロは違う!
     

〜紙〜

これも、正楽師匠にお尋ねしたところ、師匠は、
「あ、これもなんでもいいですぅ〜」っておっしゃいました。(笑)
要するに好みなんだそうです。
でも実際、寄席で師匠に切っていただいたものを触ると、微妙に厚い!
所謂、普通のコピー用紙とケント紙の中間のような厚さの紙です。
これは、普通の店ではなかなか店頭には置いてありません。
私の場合は、行きつけの文具屋に行って、見本を渡して「一締め」注文しました。
そういう時って、紙は「何枚」とは注文しないんですね。
「○○グラムの紙を○○締め」という感じで、厚さは重さで示すんだそうです。
ちなみに私は、お稽古の時は、古封筒の大きい物を職場からもらってきて、
それを使っています。ちょうど厚さがいい感じなので。
たしかにあまり薄いと切りにくいです。
大きさは、これも好みでしょうが、B5かA4ですね。


〜紙ばさみ〜

そういうネーミングでいいのかどうか分かりませんが、
切った作品をはさんでお客様にご覧いただく、あの黒い台紙です。
これは、もう売ってないので自分で作るしかありません。
大きさは紙よりひとまわり大きいA3がいいでしょうね。
事務で文書を閉じる際の「黒表紙」、少し厚手のビニール、黒い製本用のテープ、ホチキス・・・
これだけあればいいでしょう。
私はビニールはA3のビニールファイルを切って使いました。
道具から作るのも、楽しみのひとつだと思えるといいですね。





【お囃子】

紙切りは、道具と紙を切る技術があっても、BGMとしてのお囃子がないと、
なんとも味気ないものになってしまいます。紙を切っている間は、やはり賑やかに囃子立てられる方が
高座で切っている者には助かります。
もちろん、CDやテープでもできなくはないですが、やはり生が一番。
囃子はじめる、止める、また囃子はじめる・・・そういった生の掛け合いがリズムを生みます。
私はありがたいことに、九州寄席囃子の会小きぬ社中のメンバーでもあり、
生のお囃子が身近にあるというのはこの上ない好環境でした。
考えてみると、ほんと贅沢な環境ですね。
小きぬ社中には本当に感謝です。


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